熱起電力測定(Thermal electromotive force measurement, EMF)

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測定物性メルトの起電力,Na2O活量
測定条件最高1600℃,雰囲気制御可能
測定精度±300mVのEMFに対して±5mV以内
設計・製作菅原 透,瀬戸雅弘
履歴2011年〜2013年
設置場所滋賀県立大学工学部(現在はありません)

 測定原理
 濃度の異なる二種類の電解質溶液のそれぞれに白金電極を入れて溶液を接触させるとイオンが拡散すると同時に電極間に電位差が生じ,濃淡電池が形成されます.高温で溶融状態にあるケイ酸塩メルトはアルカリイオンやアルカリ土類イオンが溶解した電解質溶液であり,濃淡電池をつくることができます.ケイ酸塩メルトで濃淡電池を構成するとNaイオンの拡散が支配的であるため,二種類のメルトの間のナトリウムの活量の比の対数は起電力に比例します(EF=RTln(aNa2O(melt1)/aNa2O(melt2),ネルンストの法則).従って,Na2O活量が既知のメルトを用いて他のメルトのNa2O活量を測定することができます.<br> Na2O活量はギブスエネルギーのNa2O物質量についてに微分であるため,活量の温度,組成依存性を調べることで,メルトの混合ギブスエネルギーの大きさについて考察することができます.またメルトにおける鉄や硫黄の酸化還元反応はNa2O活量依存性に大きく依存するため,メルトのレドックスの組成依存性の考察にも役立ちます.


 
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 起電力測定セルです.実験後にセルを水冷している様子.

 
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 アルミナタンマン管(ニッカトー SSA-S)にSiO2-Al2O3-Na2O系の参照ガラス試料,白金ルツボに測定ガラス試料を入れます.濃淡電池の起電力は白金電極近傍のNa2Oの濃度差で決まります.参照試料はAl2O3を含んでおり,また測定試料側の電極はアルミナタンマン管から距離的に離れているため,アルミナタンマン管の溶出に伴う拡散は測定には影響しません.なお参照メルトと測定メルトを接触させる目的でタンマン管に切り込みが入れてあります.<br> 以前の研究では塩橋を構成したり,βアルミナ固体電解質などが使用されてきましたが,写真のような単純なセルでも十分に高精度な測定が可能です

 

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