測定物性 | ガラス,結晶のフッ化水素酸水溶液への溶解熱,ガラス化のエンタルピー,ガラスや固溶体結晶の混合エンタルピー |
測定温度 | 25℃ |
測定精度 | 溶解熱 ±0.5% |
ベースライン安定性 | ±50uK/hours以内 |
設計・製作 | 菅原 透,大平俊明 |
履歴 | 2013年~ |
設置場所 | 総合環境理工学部 112号室 |
測定原理
試料室は参照容器と反応容器がヒートシンクの上に並列に設置されています.それぞれの容器に溶媒を入れ,反応容器側に試料を投入することで溶解熱を発熱し,参照容器と反応容器で温度差が生じます.このときの温度差は反応容器側から参照容器側への熱流束に比例するので,温度差を熱量計全体が均一温度に戻るまでの時間で積分した量は反応容器で発生した熱量に比例します.それぞれの容器にはヒーターが取り付けてあり,熱量計の校正は反応容器側にジュール熱を加えることで行います.ガラスと結晶の水溶液への溶解熱の差から室温におけるガラス化のエンタルピーが求まります.またガラスや固溶体結晶の組成を連続的に変化させて測定すれば混合エンタルピーも測定できます.なお「溶解熱量計」とは測定方法としての名称で,熱量計の構造の観点からはこのような熱量計を「双子伝導型熱量計」と呼びます.|
双子伝導型熱量計
上が参照容器,下が反応容器.当研究室ではケイ酸塩のガラスや結晶のフッ化水素酸への溶解熱を測定しています.反応容器はテフロン製でヒートシンクは約10kgの銅ブロックです.検出器はテフロンコーティングされたステンレス容器に設置したのち,さらに断熱容器で二重に覆ったのち,恒温水槽に設置しています.
熱量計の断面図
恒温水槽の内側にもう一層断熱水層を設置し,その内側の反応容器部も断熱目的で上部4ヶ所の接点で指示する構造となっています.反応容器の真下の空間にマグネティックスターラーを設置しています.
測定時はこのように発泡スチロールで三重に覆っています.試料投入は専用の試料投入管を使用して発泡スチロールに開けた小さな穴から行います.
測温サーミスタと発熱用ヒーター
キャリブレーションヒーターへの通電はAgilent 3410Aにより行い,サーミスタの抵抗はAgilent 34401Aで読み取っています.いずれもパソコンにGPIB接続されており,LabViewで制御しています.
計測プログラム
計測開始から15分後にガラス試料をフッ化水素酸に投入し,反応熱を発熱したのち熱平衡に戻る様子が記録されています.