#author("2025-05-09T01:44:16+09:00","","") #author("2025-05-09T01:49:56+09:00","","") *示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter) [#h6104abe] #ref(dsc1.jpg,right,around,30%) |測定物性|メルト,ガラス,結晶の比熱(熱容量),ガラス転移温度| |測定温度|20-640℃| |雰囲気|N2ガス| |測定精度|比熱 ±0.5%| |機種|Perkin-Elmer, DSC7| |履歴|2013年~| |設置場所|総合環境理工学部5号館 112号室| #clear '' 測定原理'' 参照試料と測定試料を並列に設置し,両者の温度が同一になるように各試料セルを独立のヒーターで加熱します.このときの加熱に要するエネルギーの差は参照試料と測定試料の比熱の差に比例することから,比熱が既知の参照試料を用いることで測定試料の比熱を求めることができます.この仕組みの熱量計を入力補償型示差走査熱量計と呼びます. ---- #br #ref(dsc4.jpg,right,around,20%) '' 装置'' 1号機と2号機の2台を測定に用いています. #clear #br #ref(dsc3.jpg,right,around,25%) '' 入力補償型検出器'' DSC検出器です.DSC7は30年前の装置ですが,検出器の構造は最新のPerkin-Elmer製DSC(例えばPyris)とほとんど同等で遜色ありません.現在はDSCと言えば熱電対で温度差を検出する熱流束型が主流ですが,かつてはこの入力補償型センサーのことをDSCと呼んでいました.熱流束型DSCは検出器の構造が単純なため安価ですが,入力補償型と比較して測定精度は劣ります.入力補償型DSCを製造しているのは,現在ではPerkin-Elmer社のみです. #clear #br #ref(dsc5.jpg,right,around,25%) #ref(dsc5.jpg,right,around,20%) '' DSC7-No.1の検出器の配線'' #clear #br #ref(dsc6.jpg,right,around,25%) #ref(dsc6.jpg,right,around,20%) '' DSC7-No2の検出器の配線'' #clear #br #ref(dscfig1.jpg,right,around,30%) '' 計測プログラム'' 古い装置の欠点は最新の計測プログラムが使用できないことです.このDSC7では2006年のPyris Ver.8を使用しています.入力補償型はステップ状に加熱するStep-Scan測定を行うことで,熱流束型DSCと比較して高精度の比熱測定を行うことができます.しかしPyris Ver.8は繰り返しのステップ加熱に対応しておらず,またプログラムも最大15ステップまでしか組めません.そこで当研究室ではフリーソフトのUWSCでスクリプトを書いて,メソッドファイルを自動的に選択して繰り返すようにすることで,連続的なStep-Scan測定を行っています. #clear #br #ref(dscfig2.jpg,right,around,30%) '' ステップスキャンのデータリンクプログラム(自作)'' #clear #br #ref(dscfig3.jpg,right,around,30%) '' データ解析プログラム(自作)'' Al2O3を標準試料に用いてヒートフローと比熱の関係を求め,測定試料の測定値を校正します.Perkin-Elmer社が販売しているStep-Scanソフトウエアはとても高価ですが,測定原理さえ理解していれば解析プログラムは容易に自作できます. #clear #br #ref(dscfig4.jpg,right,around,30%) '' 測定例'' 石英ガラスの比熱.本装置の測定値(シンボル)とRichet et al. (1982)による推奨値(赤線)の比較.測定精度は十分です. #clear #br