#author("2025-07-07T11:05:34+09:00","","") #author("2025-07-07T11:06:42+09:00","","") *石基の分離,XRF分析の方法 [#tb70aaa0] ***[石基の分離と比重の測定] [#d0e6e090] (1)試料をハンマーで約1cm 角に粗砕する. (2)横型ブラウン粉砕機で粉砕する. (3)粉砕したものをふるいでふるい,60 〜 100 メッシュの大きさに粒度調整する. (4)比重 3.3 のヨウ化メチレンにアセトンを加え,比重を3.201 に調節する.比重の調節は比重ガラスで行う. この重液と粒度調整した試料 17.0 グラムを分液ロートに入れ,比重の違いによって試料を分離させる. このときカンラン石(比重3.5),輝石(比重3.4),不透明鉱物(比重5.2)はすべて分液ロートの下部に溜まるが, 斜長石(比重2.73〜2.76)と石基は浮く. (5)(4)で浮いた斜長石と石基の混合物をアセトンで洗浄し乾かした後,比重2.861 に調節した重液に入れ,分離させる. このとき石基は分液ロートの下部に溜まる. (6)(5)で浮いたものおよび沈んだものをアセトンで洗浄し乾かした後,それらを実体顕微鏡で観察し, 沈んだものの中に斜長石が混入していないことを確かめる. 浮いたものの中に石基が残っている場合はさらに重液の比重を小さくし,石基と斜長石を分離させる. この作業を繰り返す. (7)玄武岩の場合は,重液の比重 2.770 で,斜長石と石基は完全に分離する. しかし安山岩の場合は重液の比重が斜長石の比重に近くなっても石基と斜長石は完全には分離できない. 火山岩の石基には通常チタン磁鉄鉱が含まれる. よって最後まで重液で分離できない斜長石と石基の混合物は,磁石によって分離できる. 最後に分離した石基に斜長石が混入していないことを実体顕微鏡で確かめる. (8)ここまでで,カンラン石+輝石+不透明鉱物,斜長石および比重の異なる何種類かの石基に分けられる. それらの質量を秤量し,試料の回収率および各分離物の重量比から石基の種類別の相対的比率を計算する. それぞれの石基の比重はそれが分離される前に用いた重液の比重とそれが分離されたときに用いた重液の比重の平均であると仮定し, また斜長石と分離しない石基である場合はその比重は斜長石とほぼ等しい(約 2.75 )と仮定して石基の種類別比重を計算し, さらに種類別の相対的比率から,ある試料の石基の平均比重を計算した. 重液分離後の試料の回収率は 97.0〜99.4% であった. **[全岩・石基主化学組成の定量] [#jd9d27be] 石基を分離した試料と同じ試料について全岩と石基の主化学組成, およびその他の2試料については全岩主化学組成のみ, を蛍光X線装置を用いてガラスビード法で定量した. ハンマーでの粗砕の後,横型ブラウン粉砕機で粉砕した全岩試料, および前述の方法で分離した石基試料を,それぞれめのう乳鉢を用いてさらに粉砕した後, 次の手順でガラスビードを作成した. (1)粉砕した試料 0.500g および四ホウ酸リチウム 5.000g を秤量し, めのう乳鉢に移してよく混合し,希釈率 10 の混合物をつくる. (2)これを白金るつぼに移し,シリコンニット製の電気炉で溶融する. 試料が完全に溶融したら,気泡を抜くためにリチウムブロマイドを少量投入する. (3)リチウムブロマイドが溶融したら攪拌しながら気泡を抜き, 気泡が完全になくなったら冷却台にのせてガラスビードを取り出す. 蛍光X線装置は秋田大学教育学部地学教室の Philips PW1400 を使用した. 検量線の作成には地質調査所の 11 の標準試料 (JB-1a,JB-2,JA-1,JA-2,JR-1,JR-2,JG-1a,JG-2,JF-1,JP-1)を用いた. [[戻る>Iwate_chemistry1]]