#author("2025-05-09T10:57:31+09:00","","")
#author("2025-05-09T10:57:51+09:00","","")
*炉内酸素分圧の計算方法 [#td528860]

<
炉内酸素分圧はガス混合することで定量的に制御することができます.
ここではその理論と確認方法についてまとめました.

  [https://www.gipc.akita-u.ac.jp/~magma/pdf/buffer_control.pdf ガス混合による雰囲気制御の理論]
>

#ref(CO2-H2_ratio.jpg,left,30%)
<
''CO2-H2の混合比と酸素分圧の数表''(熱力学計算による)
各バッファー表記は次の反応を表します:
IW:Iron-Wustite buffer, 2Fe + O2 = 2FeO
MW:Magnetite-Wustite buffer, 3Fe + 2O2 = Fe3O4
QFM:Quartz-Fayalite-Magnetite buffer, 3Fe2SiO4 + O2 = 3SiO2 + 2Fe3O4
NNO:Nickel-Nickel oxide buffer, 2Ni + O2 = 2NiO
HM: Hematite-Magnetite buffer, 6(Fe2O3) + O2 = 4(Fe3O4) 
>
#br
#br
<

<
''酸素分圧の確認方法''
 ガス混合により調整した酸素分圧が計算通りの状態であるかどうかは
ジルコニアセンサーで計測できますが,より簡単な確かめ方があります.
金属試料により酸化還元平衡を確認する方法です:
>
<
(1) 金属ニッケルを直径0.1mmの白金線で縛り,重さを測定したのち,
ガス混合で雰囲気制御した炉内に数分間吊るす.
(2) 取り出して質量を計測し,加熱前後で質量が変わらなければNiが安定,
重くなっていればNiOが安定ということになる.
(3) (1)と(2)の操作をガスの混合比や温度を変えながら繰り返す.
(4) (1)-(3)を酸化ニッケルでも同様に行う.
>
#br
<
#ref(Ni-NiO_and_Fe-FeO.jpg,right,around,25%)
#br
 そのようにして確かめたNi-NiOとFe-FeOの平衡関係を右図に示します.塗りつぶしのシンボルは金属が安定,白抜きのシンボルは酸化物が安定であった酸素分圧です.
 実験的に確かめたNi-NiOとFe-FeOの相境界は,それぞれ熱力学計算(曲線)の値とよく一致しており,炉内雰囲気がガス混合により正確に制御されていることを示しています.
 実験的に確かめたNi-NiOとFe-FeOの相境界は,それぞれ熱力学計算(曲線)の値とよく一致しており,炉内の雰囲気がガス混合により正確に制御されていることを示しています.
#clear
>

トップ   編集 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS